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生き残りをかけた自治体の取り組みとして期待されているテレワーク

人口流出に悩む地方自治体の希望へとつながる可能性を秘めたテレワーク

日本は現在、都市部に人口が集中しています。民間企業の働き場所は人が集まるところに偏る傾向があり、地方に住む若者たちが職を求めて、生まれ育った地方を離れて働き口が多い都市部へと移り住んでいるからです。

大学進学のために都市部へ移り住んだ学生も、地方へは戻らずにそのまま都市部で就職することが多く、人口の流出が止まらない地方自治体としては深刻な問題となっています。こうした人口流出に悩む地方自治体が注目しているのが、テレワークという働き方です。

テレワークと言ってもその形態はいくつかありますが、特に地方自治体が注目しているのはサテライトオフィスです。サテライトオフィスとは、本社から離れた場所に小さなオフィスを構えて、情報通信技術(ICT)を利用しながら本社業務と同じように働く仕組みのことを言います。

小さな子供は自然豊かな場所で育てたいけれど、仕事がないから都市部に行かざるを得ないという若い人の悩みを解消し、人口流出の歯止めや移住者を呼び込むことに効果的な働き方ではないかと言われているのです。

 

地方自治体のテレワークへの取り組みは自治体存続を懸けている

日本では、国を挙げて働き方改革を推進しています。例えば、女性の社会進出を後押しする一方で、出生率の低下は社会問題です。

働き方改革を実現して女性が働きやすい環境を作れば、女性の社会進出と出生率上昇というふたつの効果を生み出す可能性があります。これにより、将来の働き手を増やしたり、労働生産性を高めたりすることができるというわけです。

この働き方改革のひとつがテレワーク事業です。テレワークの導入によって、長時間労働の是正や女性が子育てしながら働くことができる環境整備といった問題の解決につながることが期待されています。

人口が多い自治体では、優秀な人材の確保という観点から、職員自身がテレワークを選択できるような取り組みが導入されていますが、人口流出に悩む地方自治体においては違う取り組みが行われています。

地方では人口流出と同時に空き家問題も深刻です。ほかの地域の企業を誘致するだけでなく、空き家をサテライトオフィスとして活用することは、住環境と労働環境の両方を確保でき、家族ぐるみでの移住を可能にします。

実際に福井県ではサテライトオフィスの整備が進められていて、興味を持った企業が一定期間のサテライトオフィス勤務を体験できるツアーも開催しています。

 

自治体と民間企業が一緒になった取り組みが新しい未来へと続いていく

今後日本では、ますます高齢化社会が進むといわれています。親の介護などが原因で離職せざるを得ないといった場合でも、テレワークを導入することで働き続けることが可能になるケースもあります。

育児や介護をしながら働き続けられる環境づくりを進めていくことは、地方自治体へ人口を招き入れることだけでなく、企業にとってもメリットです。

例えば、子育てや介護を優先したい優秀な人材を、損失することがなくなります。また事業機能を分散化することは、大震災などの発生時にオフィス機能がストップしてしまうリスクを軽減することにもなるでしょう。

働き手にとっても地方のサテライトオフィスを拠点として働くことは、ワークライフバランスを保つのに有効な手段で、ストレスから解放され労働生産性が高まることも期待できます。

このように自治体と民間企業が一緒になってテレワーク普及に取り組むことで、日本が抱える問題の解消につながる可能性を秘めているのです。自治体の中にはテレワークの導入に対して、情報セキュリティの懸念やコスト負担などを不安材料にあげるところもあります。

しかしすでに導入を始めている自治体の多くが、テレワークの導入に一定の効果を実感していると言われていて、働き方改革とテレワークは新しい未来の形となりつつあるのです。

 

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