テレワーク研究所

TOP >  テレワーク導入に失敗しないためには

テレワーク導入に失敗しないためには

テレワークに向いている職務か?

まず、その職務がそもそも「テレワークに向いているかどうか」を考えなければいけません。

文書作成、コンピュータプログラミングなど、ほぼ誰とも口をきかずに遂行できる職務ならば、テレワークに適しているでしょう。仮に多少のコミュニケーションが必要な場合でも、電話やメールなどを使えば要件は済んでしまうはずです。

しかし、出社して体を使ってもらわないといけない職務や、どうしても人と直接会わなければいけない職務などには、やはりテレワークは不向きです。こういった職務が多い人たちにテレワークを導入しても、デメリットの方が大きくなる可能性があります。

そのためテレワーク導入の際には、「全職務の中で、どういう職務がテレワークに適しているのか」をまずは検討しなければなりません。

例えば、「ほとんどテレワークで良い」「週に2回は出社してもらった方が良い」「1日の半分をテレワークにしてもらってよいので、家庭の事情で本人が望むならばそうしてもよい」「毎日出社してもらった方が良い」などと、職務ごとにテレワーク導入の適性を、事前に評価しておくことが重要です。

 

労働時間の算定

成果報酬の給与体系を採用する企業もありますが、経営者でないすべての従業員を、完全な成果報酬制にするのは難しいものです。

そもそも、成果が出るかどうかわからないけどやってもらいたい仕事、というのも存在します。そう考えると「時間」によって労働の成果をはかることは、やはり一定以上必要です。

そしてそれはテレワークにおいても同様で、労働時間の算定は必要になってくるといえます。そのためテレワーク導入の際には、労働時間を算定する仕組みを事前に作っておく必要があります。

そうでなければ、ちゃんと働いていないのに相応以上の報酬を得る人がいたり、逆に働いているのに相応の報酬を得られない人が現れたりしてしまいます。そしてそれらは、どちらも社内全体の不満を募らせるでしょうし、テレワーク導入のメリットを失わせてしまいます。

例えば、直属の上司が与えた仕事の分量に応じて労働時間を算定するようにしたり、職務開始時と職務終了時に本人が連絡を入れるようにしたり、ITを使ってテレワーク勤務者の労働時間算定システムを社内全体に構築するなど、何らかの対応策が必要でしょう。

また、労働時間を算定せずに成果報酬でやってもらう人と、労働時間を算定してそれに応じた報酬でやってもらう人を分けるのもよいかもしれません。

 

ワークスタイルを変えていくには

女性は専業主婦として家で働き、男性は1つの会社で生涯働き続ける、という旧来の労働モデルはすでに変化しています。

女性も外で働きますし、男性も転職をしたり副業をしたりする場合があります。そして家事や育児も、2人で分担するような世の中になってきています。また、人口減少局面の日本においては、「1人当たりの生産性向上」が様々な分野で求められています。

そんな社会においては、ワークスタイルをフレキシブルに変化させていくことが重要になります。そしてテレワークは、その選択肢の1つとして、十分な合理性を持っているといえるでしょう。

家でできる仕事は家でやってもらうことによって、その人たちは余分な時間とエネルギーを節約でき、その分を家事や育児、自分の勉強、趣味などに使うことができます。

そして企業側も、それによって交通費などのコストを削減することができますし、フレキシブルな人事が可能となるのです。

もちろん前述の通り、テレワーク導入の際には注意するべき点がいくつかあります。そして他にも、個別に注意するべき点もあります。しかしながら、テレワークが一定の合理性を持っているのは間違いないでしょう。

そのため、そのメリットとデメリットを十分に把握し、また個別の事情にも配慮しながら、雇用側・被雇用側双方にとってプラスとなる方法でテレワークを導入し、現状に合ったワークスタイルを作っていくとよいのではないでしょうか。


関連記事