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パナソニックが導入する在宅勤務の形とは~多様な働き方は福利厚生ではなく経営施策~

e-Workの種類と利用者

パナソニックのe-Workには様々な形態があります。e-Work@Homeと呼ばれる在宅勤務はもちろんですが、その他にもスポットオフィスと呼ばれる、社員が自由に使うことができる全国各地にある簡易オフィスやWeb会議システムなどがあります。

スポットオフィスは主に出張中の社員が立ち寄り、報告書をまとめるなど1時間程仕事をこなす場合に使用されてています。また、Web会議では、離れていてもオフィス内にいるのと同じように、会議・打ち合わせが効率よくでき活用されています。

年間約5,000人が利用しているというこのe-Workですが、利用者のうち約8割が男性です。技術系の社員が論文を書いたり、実験結果の分析やデータ整理などパソコンに向かう時間は非常に多いようです。

そんなときに在宅で集中して仕事をすることができる環境は仕事の効率化につながっていると思われます。 また育児や介護などで家をあけることが難しい場合でも、自宅にいながらにして職場にいるときと同じ仕事ができるのです。

 

 

在宅しながらにして効率よく仕事ができるために

e-Workのうち在宅勤務の形であるe-Work@Homeの成功のためにパナソニックe-Work推進室が行ったことがあります。勤務管理が難しい在宅勤務ですが、事前に仕事の計画書を上司へ提出させ、在宅勤務時にこなさなければならない仕事量を意識させるということです。

この計画書には必要な資料の準備や一日の仕事の段取りを意識させるという役割もあります。また会社から持ち帰ったパソコンのつなぎ方がよくわからず結局仕事ができなかったなどということを防ぐために接続マニュアルが用意されます。

スムーズに仕事に入れる環境が整えられていることで安心して在宅勤務ができると言えそうです。

 

 

在宅勤務によるメリットは労働者だけではない!?

自宅にいながらにして働くことができるということは、介護や子育てなど、外で働くことが難しい人には大変ありがたい雇用形態です。その他にも障害や疾病があり、通勤が困難な人も会社へ出勤することなく健常者と同じように働くことができます。

しかし、在宅勤務によるメリットがあるのは被雇用者だけなのでしょうか。パナソニックe-Work推進室が在宅勤務によるアンケートを実施しました。このとき「在宅勤務によって生産性が向上した」との回答が70%以上もあったのです。

この結果から企業にも業務の効率化・生産性のアップや有能な社員を定着させることができるなどメリットがあると言えます。また、企業のイメージアップにつながるなどもあり、企業と被雇用者がWIN-WINの働き方と言えそうです。

 

 

在宅勤務が「働き方のひとつ」になるために

このパナソニックのようにe-Workが成功していることの要因のひとつに「e-Work推進室」があると思われます。

仕事は自宅でするものではない、などという古い価値観はまだまだ強く根付いており、会社側がいくら在宅勤務を推進しようとしても、在宅勤務に否定的な上司がいれば遠慮して申し出ることができない、やろうとしても誰も協力してくれない・・などの理由でなかなか浸透していかないことが考えられます。

パナソニックでは、「e-Work推進室」という専門の部署を立ち上げることによって、前述のとおり在宅勤務のために必要なことの指導や申請から実施までの流れをスムーズにし、各被雇用者が自由に選べる「環境」「雰囲気」を作り上げました。

古い企業風土から脱却し、雇用の多様性を確保するために企業側は「会社として在宅勤務を含む様々な働き方を取り入れる」という姿勢を根気強く続けていくことが必要ではないでしょうか。

 

 

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