在宅勤務の注意点の一つ、労働時間管理。どんな制度があるの?

4つの労働時間管理制度。そのメリットとデメリットは?
通常の労働時間制度
在宅勤務においても通常の勤務時間を導入する制度です。
始業時間、終業時間、休憩時間を決めておき、時間になったら電話やメールで勤務の開始・終了を告げる打刻の連絡をする方法となります。在宅勤務でも労働基準法の規定による、1日8時間、週40時間の労働時間が適用されます。
この制度においては、会社側でも従業員の勤務時間がはっきり分かっているので、すぐに業務指示を出しやすいのがメリットです。しかし、労働時間に関する連絡をいちいち行わなければならず、煩わしさもあります。
フレックスタイム制度
フレックスタイム制度は、従業員が自分でその日の勤務時間を決める方法です。
この制度を導入した場合は、1日8時間、週40時間という規定ではなく、1ヶ月や1週間といった単位での所定労働時間を決めて精算を行います。フレックスタイム制度は従業員が柔軟に勤務時間をコントロールできるのが魅力です。
育児や介護など家庭の都合に合わせた勤務時間で働くことが可能です。また、体調不調や、子どもの突発的なトラブルにも、その日の勤務時間を変動させて対処ができます。
一方で、会社側は始業時間を決めることができないので、従業員の勤務時間を把握しづらかったり、業務指示を出しにくくなったりと、管理が難しくなります。
事業場外みなし労働時間制度
従業員が自宅など会社外で労働する在宅勤務は、会社側がその労働時間を把握しづらいのがネックとなります。
事業場外みなし労働時間制度は、事業場外で労働する従業員に対して、一定時間労働したとみなす制度です。働いたとみなした労働時間内で遂行できないような量の業務を割り当てられないよう、会社側と従業員で話し合う必要があります。
会社側としても、従業員の勤務時間が決まっていないため、残業が発生しにくいというメリットがあるでしょう。
しかし、在宅勤務で事業場外みなし労働時間制度を適用するには、従業員に対する指揮監督が及ばず、労働の管理が困難な場合でなければなりません。国が策定した在宅勤務導入のためのガイドラインによれば、以下の3つ要件を満たす必要があるとしています。
・その業務が、起居寝食など私生活を営む自宅で行われること。
・その業務に用いる情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。
・その業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。
この制度を適用する際の注意点は、従業員が電話やメールで連絡がとれる状態を切ってしまうのを認める必要があり、思うように連絡がとれなくなる点です。また、会社側からの業務指示を的確に行うことが難しくなるでしょう。
裁量労働制
事業場外みなし労働時間制度よりもっと従業員の判断に任される制度が裁量労働制です。
業務の手段や労働時間など、大部分を従業員の裁量にゆだねて、あらかじめ決めておいた労働時間の分を働いたとみなします。こちらもみなし労働時間制度と同じく、残業が発生しにくく、残業代のコスト削減に繋がります。
裁量労働制は、事業場外の労働でなければならないという制約がないため、在宅勤務にも導入しやすいと思うかもしれません。ところが、裁量労働制を適用できる職種は限定されているのです。
プログラマーやエンジニア、弁護士や税理士など、他にもかなりの専門性が必要となる職業のみに適用が許されています。また、業務の手段や方法も従業員に任せることになるので、会社側から細かい業務指示が出せません。
どの労働時間制度を導入するべきか?
以上、在宅勤務における労働時間管理制度を4つ紹介しました。
労働時間に関しては規定も多く、どの制度を導入するべきか悩むことでしょう。専門性のある職種では裁量労働制が適用可能です。
そうでなければ事業場外みなし労働時間制度になりますし、もっと従業員を管理したい場合は、フレックスタイム制度や通常の労働時間制度を導入するべきです。どの制度が適しているかは在宅勤務の業務内容によって違ってくるのではないでしょうか。
従業員が意欲を持って健康的に働けるよう、また、会社側にもメリットがあるような労働時間管理制度を吟味して採用していきたいですね。