在宅勤務の労働時間制度のひとつ、フレックス制度についてご紹介。

労働時間制度には、そもそもどんな種類がある?
労働時間制度には、会社が始業時間・終業時間を定める通常の労働時間制度のほか、労働者側が就業時刻を自由に決定できる「フレックスタイム制度」、実際に従事した時間とは関係なく事前に定めた一定時間を就業したとみなす「事業場外みなし労働時間制度」や「裁量労働制」があります。
これまで会社の定める労働時間制度で固定していた企業が在宅勤務制度を導入するにあたって、フレックスタイム制度を検討することも多いかと思います。
ここでは、フレックスタイム制度の特徴について解説していきます。
フレックスタイム制度の特徴とは
自社がフレックスタイム制度を導入していなくても、その言葉を聞いたことがある、という方は多いのではないでしょうか。
なんとなく「時間に縛られず、自由なイメージ」ということは想像できるかとは思います。「じゃあ、1日に3時間だけ働くとかもOKなの?」「昼から夜中まで仕事するとかもあり?」など、様々な疑問が浮かんでくるでしょう。
ここでは、フレックスタイム制度とは具体的にはどのような制度なのか、解説していきます。
<フレックスタイム制度の概要>
フレックスタイム制度の場合、日々の始業時刻・終業時刻の決定は「労働者側に全面的に」委ねられるものとなります。
例えば”一日に8時間は必ず労働しなければならない”というルールは設定できませんので、一日の総労働時間も労働者の決定によって日によって変わる形となります。
「今日は9時~14時、明日は11時~20時」といった働き方ができるのが特徴です。
ただその場合、「月に50時間しか働かなくてもOKなの?」「残業した場合は残業代は出るのか?」などの疑問も浮かんでくるのではないでしょうか。
労働時間については、清算期間(最大で1カ月以内の一定の期間で労使協定で定めたもの)内での総労働時間を決めておいて、その清算期間内での各日の労働時間を労働者が決められる、というルールが労基法で定められています。
ですから、総労働時間が定められた労働時間に満たない場合及び超えた場合には、給与調整が必要となります。
また、完全に就業時間を自由にするのではなく、会社側から「必ず〇時~〇時は出社してください」と一定の時間を定めることも可能です。それを「コアタイム」と呼びます。
コアタイム以外の労働者が自由に決められる時間を「フレキシブルタイム」と呼び、コアタイム+フレキシブルタイムの合計で、上記の精算期間内の労働時間を調整していきます。
コアタイムは、曜日ごとに設定することは可能ですが、予め労使協定において時間を定めておき、労使間での合意を得る必要があります。
「明日は必ず9時に出社すること」「今日は忙しいから20時までは残業しろ」と業務命令を下すことは違法行為となってしまいますので、その点は注意しましょう。
在宅勤務をしている理由として、家庭の事情を挙げられる方も多いことでしょう。
フレックスタイム制度では、その日の事情に応じて労働時間を調整できますので、「今日は朝子供を送ってから家事を済ませ、昼前から仕事を開始しよう」ということも可能です。
また、「時間のかかる資料作成に集中したいから、通勤時間をカットして一日中作業をするぞ」といった形で、会社側の始業・終業時刻に影響されずに仕事に取り組むこともできます。
休憩時間も自由に定めることができますので、体調に応じて労働の調整がしやすく、ワークライフバランスは図りやすくなることは間違いないでしょう。
一方、在宅勤務でかつフレックスタイム制度を利用する場合、高い自己管理能力が求められます。
家にいるとついつい目についた用事に気を取られてしまってそっちに取り掛かってしまう、という場合、精算時間に届かなくなってしまう可能性があります。
また、取引先や上司・同僚とのコミュニケーションもおろそかになりがちです。
意識して積極的に連絡を密にし、今自分がどのような仕事をしているか、相手からは何が求められているのかと常にクリアにしておく必要があるでしょう。
お互いの意識の齟齬をなくし、効果的に制度を活用していきましょう。