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在宅勤務の現状と、今後について徹底解説

社会への普及はまだ遠い?数値で見る在宅勤務の現状

2013年6月、国は在宅勤務者の数を、2020年中に全労働者数の10%以上にするという目標を掲げました。

在宅勤務は就業者だけでなく、企業や社会全体を見ても、それぞれに有益な効果があると期待されていることから、普及への取り組みが進められてきました。

2013年度に国土交通省が調査したデータによると、週一日以上終日で在宅勤務を行っている労働者数は約260万人であり、これは全労働者数の4.5%程度であることが判明しています。

しかし、翌年の2014年度における在宅勤務者の数は、全労働者数の3.9%と減少傾向となり、その後も目立った増加が見られないのが現状です。

また、実際に在宅勤務を導入している企業はどの程度あるのか、2017年度に総務省が発表した情報通信白書によると、在宅勤務を導入している企業の割合は、2013年に全企業数の約9.3%、2016年に約13.3%となっています。

在宅勤務を導入している企業は、全体の7分の1に満たないことから、日本の企業あるいは社会全体への在宅勤務の普及は、まだまだこれからだということが言えます。

 

 

在宅勤務はなぜ普及しないのか?

在宅勤務には様々なメリットがあります。

その最大のメリットといわれる生産性向上について、2016年に総務省が調査した結果では、在宅勤務を導入していない企業に比べ、導入した企業の労働生産性が約1.6倍高いことが判明しています。

また、社員にとっては通勤時間などといった仕事に関係の無い時間を減らすことが出来るため、育児中や介護中の社員のワークライフバランスの向上に期待ができます。

しかし、その在宅勤務を導入するまでの過程に壁があるというのが現状です。特に、在宅勤務に適した仕事が無い職種や中小企業などは、在宅勤務を導入したくても出来ないといった問題があります。

在宅勤務を導入する企業には、ソフトウェア開発やデザイン・ライティング系の職種が多く、一方で製造業などの様な製品を手にとって仕事をする職種が少ないというデータがあります。

また、中小企業の場合は資金や人材に制約があり、在宅勤務を導入したくてもできていないといった状況が続いています。

在宅勤務が導入可能であっても、情報漏えいが心配で導入に踏み切れない企業も多数存在します。

在宅勤務といっても、自宅以外の施設で仕事をすることが可能です。その自由さが逆に不安の種となってしまい、在宅勤務の普及が停滞気味となってしまっています。

 

 

在宅勤務の更なる普及のために

在宅勤務の普及には、環境・制度・社員意識の改革が必要です。

しかし、これらをマネジメントする方法が難しいため、なかなか普及が進まないと言われています。

環境面については、日本でも在宅勤務の普及に向け様々なシステムが開発されていますが、中には社員がパソコンの前に座っていることを確認できるカメラが開発され、それを導入している企業もあります。

企業側は、社員がきちんと仕事をしているか確認し、労働時間をカウントするために導入していますが、社員側にとっては監視されているように感じてしまいます。このようなシステムが開発される裏には、企業側が在宅労働に不安を持っているという背景があります。

こういった問題については、社員の意識を改革していき、上司・部下がお互いを信頼できる関係性を育んでいくことが大切になります。

また、在宅勤務制度の理解不足も、普及の停滞に繋がっています。会社に出社して仕事をしている社員へ、在宅勤務についてアンケートをとったところ、多くの社員が在宅勤務に不安を持っていることが分かりました。

「どこでも仕事が出来る=より多くの仕事を振られるのではないか」という声や、「出社している人に負い目ができる」というような意見が寄せられ、出社して働いているからこその不安があることがわかりました。

以上のことから、在宅勤務の普及および導入には、企業が環境面・制度面を整え、社員の人財育成に取り組んでいくことが大切なポイントとなります。

普及が難しいとされる在宅勤務ですが、有効に利用できれば様々なメリットが得られます。

在宅勤務の導入は、非常に大変なプロジェクトになるかもしれませんが、それを乗り越えて実施する価値は十分にあるのではないでしょうか。

 

 

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